成熟社会の大学教育
渡部信一 ナカニシヤ出版 2400+税 2015
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「渡部の本」の最新作。『日本の「学び」と大学教育』の続編です。
私が本書で提案したいのは、とてもシンプルな次のようなことである。
高度経済成長期に有効だった近代教育を基礎とした大学教育が、これから成熟期を迎える日本社会においては必ずしも有効であるとは限らない。これからの「成熟社会」における大学教育は、近代教育を基礎としながらも、これまでとは異なった「+α」の視点が必要である。
本書では、この「+α」に日本における伝統的な「学び」の視点を据えて検討するが、このような視点はグローバル化する大学教育にとっても大きなアドバンテージになると考えている。
「はじめに」より
目次
- はじめに
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高度経済成長から成熟社会へ
- 1 高度経済成長期の大学教育:「発展・競争・効率」の重視
- 2「幸福」再考の時代:若者における価値観の変化
- 3 少子高齢化と成熟社会:大きな岐路に立つ大学教育
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大学教育をとりまく現代的トピックス
- 4 大学教育の大改革:「主体的な学び」とICT活用
- 5 グローバル化する大学教育:オンライン授業と反転授業
- 6〈新しい能力〉重視の教育:経済原理に基づく学習到達度調査
- 7 ポスト近代型能力:「ハイパー・メリトクラシー」という批判
- 8「評価」の重視:コンピテンシーに対する大きな違和感
- 9 行為の中の振り返り:リフレクションの重要性
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成熟社会の大学教育を提案する
- 10「学び」の共同体:オックスフォード大学を参考にして
- 11 日本の「学び」:非段階的な学習と非透明な評価
- 12「よいかげんな知」の実態とは:教養教育が目指す方向性
- 13 成熟社会の大学教育:「私の学び」を取り戻すために
- 最後に:新しい「大学教育」をめざして
- あとがき