渡部信一著 大修館書店 1,760円 2021
アマゾンで購入する私たちは今、「AI×データ時代」の入り口に立っている(AI=人工知能 Artificial Intelligence 以下「AI」と表現する )。「ビッグデータ」や「最新のAI」によって私たちの生活や社会は大きく変化し、これまでとはまったく異なる時代になる。それにともない、これからの「教育」も大きく変わらなければならない。
最近、そんな議論をよく耳にするようになった。
しかし実際には、多くの人々が次のように思っているだろう。
「最新AIって、何が新しいのだろう?」
「ビッグデータと最新のAIによって、私たちの生活や社会はどのように変わるのだろう?」
そして・・・
「本当に、教育現場にAIが入ってくるのだろうか?」
「本当に、ビッグデータや最新のAIによって、教育は変わらなければならないのだろうか?」
「もし変わるとしたら、教育はどのように変われば良いのだろう?」
もちろん多くの人々は、マスコミ報道などである程度の知識は持っている。しかし、ほとんどの人は、こんな感じだろう。
「間もなく、AIが自動車を安全に運転してくれるらしい。」
「もし病気になったら、AIが何の病気か診断してくれて、最も適切な治療法を提案してくれるらしい。」
「冷蔵庫に入っている食材をAIが判断して、おすすめのメニューを提案してくれるかもしれない。」
さらに教育関係者ならば、次のように考えているかもしれない。
「たぶん、成績の管理などの事務的なことはAIが自動的に処理してくれるようになるだろう。」
「Web上には最先端の情報がたくさんあるから、AIのサポートによって子どもたちの学習は便利になるだろう。」
あるいは、ひょっとすると・・・
「人間の知的作業はすべて、AIに取って代わられてしまうのではないか?」
「教え方が上手なAI教師が登場したならば、『教師』という職業はなくなってしまうのではないか?」
「そうなったら学校では、どのような『教育』をすればよいのだろう? 学校では、何を教えればよいのだろう?」
「AIを活用した教育はあまりにも便利すぎて、学習者は主体的に学習することをやめてしまうのではないか?」
そのような「AI×データ時代」を目の前にしていた私たちは、さらにまったく予想もしていなかった出来事に遭遇した・・・「新型コロナウイルス感染」の世界規模の拡大である。これにより、小中高校・大学などあらゆる教育現場では対面で授業をすることが不可能になった。そして、全国ほとんどの大学で「オンライン授業」が実施され、これまでテクノロジー活用に関心のなかった教師も含め否応なしに「オンライン授業」と向き合わざるを得ない状況になった。
しかし、「新型コロナウイルス感染」だけにとどまらない。その他にも、私たちの目の前には数多くの人類生存に関わる様々な危機がせまっている。地球温暖化がもたらす様々な災害、南海トラフ巨大地震、首都直下地震、さらなる新しいウイルス感染・・・。そして日本社会においては、人口減少、少子高齢化、不安定な雇用、北朝鮮問題や米中対立に代表される不安定な世界情勢・・・。まさに今、私たちは社会における「不安定・不確実・複雑・あいまい」が拡大する時代の入口に立っている。そのような社会の中で、私たちはどのようにこれからの「教育」を考えていったら良いのだろう?
本書では、今後の「教育」に関して、私たちが採るべき5つの戦略を示し丁寧に説明していく。
(「はじめに」より)